菅平温泉やまびこ

ラグビー観戦記

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あこがれのウェールズへ行ってきました!の巻
〜第4回ラグビーワールドカップ観戦記〜 
1999年10月から開催されていた第4回ワールドカップは、オーストラリアの優勝で幕を閉じました。
  予選でのジャパンは、奮闘むなしく残念な結果に終わりましたが、その情熱は画面からも十分に伝わってきましたね。
  YAMS3号は、10月9日に行われた日本代表対ウェールズ代表戦を観戦するため、はるばるウェールズまで行ってまいりました!!
ウェールズ
菅平高原ジャパン応援ツアーの経緯■

  菅平高原から各宿の代表が参加して、ジャパン戦の応援ツアーを組むようになったのは、
  アジア大会が2年に1度行われるようになった頃からということで、かれこれ20年になります。
  諸事情により、各宿とも毎回参加するというわけにもいかないのですが、私どもホテルやまびこは
  ジャパンの皆様のご利用頂くホテルとして、ほぼ毎回参加しております。(力入ってます!)

  ワールドカップとしては、第2回大会に応援に行ったのが最初です。この時は、ジャパンの皆様と
  同じホテルに宿泊し、一行を追いかけて3箇所を移動。身近な感じで応援したそうです。
  第3回の南アフリカ大会には菅平からの応援ツアーを組みませんでしたので、
  この第4回大会の応援ツアーがワールドカップ2度目となりました。
  そう言えば菅平高原の垂れ幕や横断幕を見たことがあるよ、という方もおられるかもしれませんね。

■初日から疲れました■

  ロンドン・ヒースロー空港に到着したのは、試合前日の10月8日の晩でした。
  ロンドンの気温は、菅平とほぼ同じくらいでしょうか。思ったより肌寒くはありません。
  この時期の菅平高原は、夏のトップシーズンを終えて、グランドの芝の種まきや芝刈りなどをする一方で、
  ひと足早い初冬を感じながら、冬のシーズンの準備にとりかかる頃です。
  「こんなに暖かくては芝が伸びきってしまって、帰ってから刈るのが大変だ・・・」
  やはり留守中の宿のこと、グランドのことなど何かと心配なのでした。

  今回菅平高原からジャパン応援ツアーに参加したのは、全部で11名。
  出発の2日前になって、「ロンドン直行便からパリ経由便に路線変更になりました」という連絡が
  ツアー会社から入ったのが運のつき。パリから移動する2時間で疲れ果てた後のこと、
  グループの内3名のスーツケースが手元に届かない、というハプニングにあってしまったのです。
  なんと、私YAMS3号もその一人!
  明日のウェールズ観戦には、着の身着のままで行かなくてはならないなんて。
  スーツケースには、応援旗などラグビー観戦グッズを詰め込んでいたのに。悔しくてなりません。
  落ち込んだ気持ちのまま宿泊ホテルに到着すると、なかなかゴージャスなホテルのようです。
  アメニティも充実しているし内装も重厚で、とても快適な空間でしたので、気分もリフレッシュ。
  その晩はぐっすりと眠りました。

■憧れの街カーディフへ■

  朝食はちょっとリッチな気分でルームサービスでいただきました。
  まだ空は薄暗く、すぐ隣の広大なハイド・パークの森もぼんやりとしか見えません。
  朝7:30。私たち11名は、日本からやってきた他の観戦ツアーの人々と一緒にバスに乗り込み、
  ウェールズの首都カーディフへ向けて出発しました。

  ロンドンから約3時間でウェールズに入ると、空はどんよりと曇っていました。
  首都カーディフに近づくにつれ、道路標識以外にラグビーW杯の案内板が増えてきます。こういう
  道路標識などの表示には、英語とウェールズ語が併記されているんです。おもしろいですね。
  さっきから細かい雨が降っているのに、ウェールズの人々は誰も傘をさしていない。
  たまに傘をさしている人がいる、と思ったら日本人だったりして・・・。きっとすぐやむのでしょう。

  ラグビー一色で飾り立てられたカーディフの街。
  試合は土曜日の午後ということもあって、チケットは既に完売。ダフ屋もたくさんでていました。
  添乗員さんがチケットを配る際に、
      「このチケットは絶対なくさない様に。命の次に大切にしてください。」
  と冗談を言っていました。
  街の中心部にあるミレニアム・スタジアム付近は交通規制があって、バスは近くまで入ることができないので、
  バスを降りて15分ほど歩きました。
  思い思いの格好で赤く着飾った人々の流れが、歩行者天国になった道路をスタジアム方面に
  押し寄せていきます。赤いジャージはとにかくかわいい。レッド・ドラゴンの旗もカラフルです。
  マントのように肩にかけたり、ワンピースやスパッツにしている女の子達もたくさんいて、
  一人一人が個性的に応援ファッションを楽しんでいる感じです。
  私たちが日本人だと気づくと、赤い軍団は気軽に声をかけてきたり、盛んにアピールしてきます。
  あちらこちらにあるパブも試合前から大変な賑わいで、ビールジョッキを突き上げながら
  「ウェールズ!」の雄叫びをあげていました。
  まもなく始まるラグビー・ゲームが最高のものになりますようにと、気勢を上げて願う気持ちはみんな同じなのですね。

  オフィシャルのラグビーグッズ店では、ウェールズ関連の物ばかりが置いてあり、日本物の
  在庫は初めから少ないのか、残念ながらほぼ完売でした。
  露店で売っているチーム別マフラーは5ポンド(約1000円)。帽子は10ポンド(約2000円)。
  お手頃な値段の割には凝っていてかわいいので、みんなでお揃いで買いました。
  ジャパンのマフラーは赤白の縞縞柄じゃなく、ちゃんと桜のエンブレム入りでしたよ。
  顔には、桜のエンブレムを両頬にペインティングして。いよいよ準備完了です。

ウェールズ ウェールズ

■いざ〜!ミレニアム・スタジアムに入ります■

  収容7万2500人のミレニアム・スタジアム。
  セキュリティが厳しくとは聞いていましたが、各ゲートには必要以上にたくさんの警備員が黄色い
  服装で立っていて、とても物々しい雰囲気です。
  チケットは色鮮やかな大判で、半券をもぎられる前に記念写真を撮っておいたのですが、実は
  機械に差し込むとバーコードをチェックするだけでそのままの形で出てきました。画期的です。
  そのチケットの表記によれば、「○○ゲートの○○階段で○階」まで上がり、その「○○通路」
  から入った「○○ブロックの○○列目の○○席です」とあるけれど、これがどうもわかりづらい。
  まず案内表示に従って階段をどんどん上がり、とりあえず3階に到着しました。通路番号を
  見つけて、2〜3歩前に踏み出すと、目の前にスタジアムの観客席が広がりました。
  観客席は3階建てですが、柱のないすり鉢状なので、予想以上にグランドの様子が見やすく
  できています。デッドボールライン沿いぎりぎりに観客席が設けられているせいか、目の錯覚か、
  グランドがほぼ正方形に見えます。それだけ臨場感があるということでしょうか。
  両サイドのゴールポスト裏の天井から吊り下がっている2枚の巨大スクリーンには、先日の
  試合が映し出されており、既に客席の人々はビール片手に盛り上がっていました。

  各通路口には係員さんがたくさんいて、私たちを親切に席まで誘導してくれました。
  残念ながら私たちの席は3階のかなり後方の様です。3階席は意外に急傾斜に造られており、
  階段の1段1段の幅が狭いので、手すりを持たずに上っていると目眩がしそうでした。
  数年前のフランス・サッカー大会の時のように買占めやダブル・ブッキングがあったりと、各ツアー
  会社のチケット確保は大変だったそうで、同じツアーでも席はばらばらに離れてしまいました。
  1階席を陣取っている日本人の方々が羨ましかったですね。
  まだキックオフまで1時間以上あるため観客席はガラガラでしたが、次第に盛り上がっていく
  スタジアムの雰囲気に身を置いているうちに、自然と自分も気持ちが昂ぶっていきました。

  観客の盛大な拍手とともに、グランドではジャパンの選手たちのアップが始まりました。
  目の前でストレッチをしているジャパンの選手一人一人に、「頑張れ!」と声援を送りたい。
  選手を支えるテクニカルやメディカルスタッフたちにも、「いよいよですね」と声をかけたい。
  このスタジアムのほとんどの人々がウェールズを応援しているとしても、緊張して異様な熱気に
  飲み込まれることなく、今までやってきたことすべてをこのゲームで出し尽くしてほしい。
  この新しいスタジアムで大観客の前でラグビーができる幸せを力にして、最後まで闘ってほしい。

 

  次第に座席は、赤いジャージ軍団で埋め尽くされていきました。
  鼓笛隊や聖歌隊が登場して歌を歌い始めると、観客も一緒に歌い出し一つにまとまっていきます。
  大きく掲げられた両国の国旗と、その前に並んで記念撮影する選手たち。
  ウェールズの国歌がスタジアム全体を揺さぶるようにこだますると、胸が締め付けられるような
  気持ちになり、こちらまで熱くなります。
  いよいよキックオフ。  と、その時・・・。

■なんともツイてないんです…■

  階段を登って来た老夫婦が、私たちに向かってチケットを見せながら、「そこは私の席よ」なんて
  言うのです。そんなはずはないでしょ、と隣の席の人のチケットを見せてもらって比べると、
  ブロック番号が違うではないですか。階段に待機する係員さんに慌てて問い合わせると、
  私たちの席は1ブロック隣で、それも一旦階段を降りて隣の通路から入り直さなくてはいけない
  らしいのです。そんなことを今更言われても・・・。ちゃんと誘導してもらったのに・・・。
  早くしないとキックオフに間に合わない。怒りながらも係員さんの誘導に従うしかない。
  席が違っていた4人は揃って階段を降りきり、次の係員さんの後をついて隣の通路口へ。
  この係員さんは、私が「ここは違うんじゃないの?」と尋ねると、「大丈夫」なんて笑いながら
  次の係員さんの所まで案内して、バトンタッチ。私たちは後をついて、階段を一気に上がります。
  上がったところに席が4つ並んで空いているはず・・・なのに、なんで空いていないの?
  なんと、またまた係員さんの誘導が違っていたのです。ほらね。
  呆れながら、再び階段を下る。下る。私たちが慌てて階段を走っている間に、ゲームは
  いつのまにか始まっているんです! こんな時に、もう目立ちまくりですよ。
  冷汗かいて。油汗かいて。息はきれるし、足はつりそうだし。
  さっきの係員さんから新しい係員さんに再度バトンタッチして、またまた上がる。上がる。
  今度こそ、上がったところに席が4つ並んで空いているはず・・・。えっ、またないじゃない?
  係員さんは慌ててしまい、既に座っている人のチケットと私たちのチケットを見比べて、
  「同じ券じゃないか?」などと、不吉なことを呟いたのです。
  まさか、この期に及んで、ダブル・ブッキングだあ?  冗談じゃないわよ!
  よくよく見れば、先に座っていた人たちが席を間違えていたのでありました。

  ようやく席について、ホッとひと安心。汗だくで疲れきってしまいました。
  君が代を歌うこともできず、キックオフも見ていないけれど、とにかくジャパン頑張って〜。
   そう言えば、バタバタと走り回っていた日本人4人組がいたよな、と思い出されたあなた。
  あれは、YAMS3号でありました。トホホ・・・。

■感動をありがとう■

  いったい何処から誰が歌い出すのでしょう。
  自然と始まる美しい歌声は、すぐハーモニーとなってスタジアム全体に響き渡るのです。
  地面から湧き上がるような歌の迫力に、感動して涙があふれそうになるものの、日本人は一緒に
  歌えないという心寂しさが残ってしまいました。
  日本人の声援は歌や大歓声にもみ消されながらも、ジャパンの人々に届いたでしょうか。
  ウェールズの人々は、いいプレーがあると、ジャパンにも惜しみなく拍手を捧げてくれました。 
  途中交代で下がっていく選手たちへの拍手も非常に暖かいし。
  「ウェールズ!  ウェールズ!」の雄叫び。大歓声。われんばかりの拍手。
  場内アナウンスで選手の名前が呼ばれるとウォ〜。スクリーンにリプレイされるとさらにウォ〜。
  ヘンリー監督がスクリーンに映し出されると、試合中でも拍手と歓声が上がるのですから。
  さすがに平尾監督が映っても、歓声は上がりませんでしたけれど・・・。
  時には、1階から3階まで一本の大ウェーブがスタジアムを駆け巡りました。
  ウェールズの人々のラグビーに対する熱狂ぶりは大変なものです。
  母国を誇りに思い、ラグビーを愛し、全身で満喫している人々。

  前半、奮闘するジャパンに対し、ウェールズは手を抜くことなく速いプレーで攻め続けてきました。
    ウェールズFWの強い当たりに耐え、執拗なタックルで食らいつくジャパン。
    ボールへの執着心を忘れずに、捨て身になって走りこみ、つないでいく姿は胸を打つ。
    BKの速い展開を食い止めながら、ようやく生まれたジャパンの2つのトライ。
  ハーフタイムのとき、ジャパンはみんな本当に頑張っている、と痛感しました。
  後半、ジャパンは前半の疲れからかボールがとれず、ディフェンスばかりになってしまいました。
  ウェールズは、ジャパンの防御の隙を狙って速攻で攻め立て、連続トライを浴びせかけてきます。
  点差が離れていくにつれ、ウェールズは余裕の表情で次々と途中交代で下がっていく。
  ジャパンの選手たちの気持ちを考えると、やりきれない思いでいっぱいでした。
  それでも選手は最後まで力の限りに奮闘し、ウェールズを止めつづけました。

  ノーサイド。
  ウェールズの壁、世界のレベルは高かった・・・。
  ジャパンは確実にレベルアップしていると思う。選手やスタッフの方々が今日までやってきたこと。
  それが、得点として試合結果に現れなかったことがとても残念です。
  ジャパンの皆様、本当にお疲れ様でした。

■ノーサイドの後に■

  スタジアムを出たところで記念撮影をしていると、地元のかわいいレッド・ドラゴン・ギャルズが
  一緒に撮って、と列に入ってきました。あっという間に大勢集まって、ウェールズ人も日本人も
  みんな一緒に記念撮影となりました。ギャルたちはテレビ・インタビューも受けてました。

ウェールズ

  帰り道、道路脇のパブはどこも、勝利に沸く赤い軍団で大変な賑わいです。
  日本に大勝して、誰もがとてもご機嫌なのです。
  こちらは肩身が狭いな、なんてそそくさと歩いていると、ウェールズの人々はとても気軽に
  「ナイス・ゲーム!」と声をかけてくれます。「日本はよく頑張ったよ!」なんて。
  私たちがお返しに「ウェールズ NO.1!」と言うと、さらにご満悦な表情で「ウェールズ NO.1!」と
  連呼する。これでいいのですよね。
  もし日本がウェールズに勝っていたとしたら、こんなに穏やかにスタジアムを後にすることが
  できたのやら・・・なんて、余計な心配もしてしまいました。
  ラグビーを愛し続けているこの国の人々の心に接し、情熱を感じ、観客の一人として素晴らしい
  ゲームを観戦できたのです。試合には負けてしまったけれど妙に爽やかな気分でありました。

  ロンドンまで帰るバスの中、ほとんどの人は疲れきって眠っておられましたが、私は何故か
  興奮冷めやらず、眠れないまま今日の試合を振り返っていました。
  これで終わりではない。ジャパンよ、これからも頑張って!
  わたしもラグビーを応援しつづけます・・・                       YAMS3号